『メリイクリスマス』太宰治

ストーリー

笠井が舞い戻ってきた東京は、何も変わっていなかった。その東京で一人の娘と再会する。笠井はその娘の母親と親交(唯一の人と称するほどだった)があり、その人を回想しながら彼女と話す。が、彼女に母親の話をすると、なぜか元気無げな様子だ。その様子の変化を笠井は、母へ嫉妬しているのだと考え、その女性の気を惹こうと自身の持つ恋愛テクニック展開する。その場面で笠井があるミスをするのだが、そのミスすらも陽気にとらえているのを読みんだとき、僕は思わず吹き出してしまった。

彼らは家の前に着き、彼は彼女の母親を呼ぶ。すると娘が泣き始め、母は空襲で死んでしまったと言うのであった。そして、いままでの娘さんの様子を振り返り、自分が甚だしい勘違いをしていたことに気付く。彼は、娘さんを連れウナギ屋さんへ入り、亡くなった母親も連れ、食事をするのだった。そのお食事処に居合わせたとある紳士が、面白くもない冗談を大声で話し、笠井の気分もますます白けるのだが、アメリカ兵へ「メリイクリスマス」と声をかけたことに思わず吹き出してしまうのだった。

 

感想

面白い作品だった。僕は大抵、歩きながら本を読む。この本もいつものように歩きながら読んでいた。ほんとは感情を押し殺すべきだったが、作品内の笠井の内的描写が面白くてついつい吹き出してしまった。起承転結、そんな物語。