2020-09-05から1日間の記事一覧

『十五年間』/太宰治

太宰治が、東京で過ごした15年間の生活回想記。 かつて書いた『東京八景』では物足りないと感じ、太宰自身が発表した作品の変遷とともに自分の生活、心理状況を回顧し、書いた作品。 太宰は『思い出』という少年時代に犯した罪の告白を記した小説を書いて死…

『苦悩の年鑑』/太宰治

ある小説家(おそらく太宰自身を模した人物)が自身の考えの移り変わりを記した回想録のような小説。「思想家」の何々主義が白々しく、嘘のようなものにしか見えないと批判し、「私には思想なんてものはありませんよ。すき、きらいだけですよ。」と言う。 戦…

『薄明』/太宰治

とても気弱で、頼りのない主人公が妻と子供を連れ妻の故郷、甲府へ向かう。戦争下で苦しい生活を強いられ、家計に悩みあぐねる中、主人公は娘の結膜炎、そして自分という立ち振る舞いで頭がいっぱいいっぱいだった。娘の結膜炎が治り、目が開く。主人公は、…