『朝』太宰治
遊ぶことが大好きな主人公。彼は仕事をしていても、友人が自身を訪ねて来ると遊びに出てしまう。
そんな自分を律しようと、家族にも教えていない秘密の仕事場(女の人の部屋)で仕事するのであった。
ある晩、彼はお酒を大量に飲み、帰れなくなる。そして、彼は秘密の仕事場と称する女の人の部屋で介抱してもらう。
何も考えずに寝、起きた頃、停電し部屋が真っ暗になっていた。
その真っ暗な部屋に光を灯すべく、蝋燭を付けるのだが、その蝋燭が短くなるにつれ、自分の五体が熱くなり、大胆になっていく。この蝋燭が消えたら..。と自分の恣欲の暴走という恐怖に身悶えながらじっとする。
そして、蝋燭が消える。
が、蝋燭が消える頃には夜が開けていた。
彼は起きて帰る支度をするのであった。
欲と理性の葛藤を描いた作品。
消えていく蝋燭の火に理性を重ね、自分の欲が抑えられなくなっていく..。
作中で交わされる、キクちゃんと主人公の会話に「バイブル」や「貴族の習慣」と言った話題が出てくる。どちらも面白おかしいお話の一環として出てくるのだが、こう言った話をする人物を描ける太宰の知識は本当に豊かだったことが伺える。