『西の魔女が死んだ』梨木香歩

まいのおばあちゃんが死んだ。

まいは突然の知らせに胸が苦しくなる。祖母のもとへ行く途中、祖母との出来事について回想する。

まいは学校に行くことが嫌になっていた。母に正直な思いを告げて、学校から少し離れ、おばあちゃんのもとで生活する。

おばあちゃんは感受性豊かなまいを、心から受け入れた。そして、豊かな自然を通して生きるために必要な心得を教えていく。おばあちゃんがまいの心をつかむ言葉たち。その言葉たちはどれも力強く、丁寧な言葉遣いで、心に優しく染み込み、そして奥底を震わす。

おばあちゃんは、感受性豊かで、傷つきやすいまいが軸をもって生きられるように、まいの考えを包み込み、まいの心が傷つきにくい生き方へとやんわりと誘導していた。そののち、ただ誘導されるだけじゃ嫌だと思ったまいは、おばあちゃんのテーゼのアンチテーゼになる。しかし、それが原因で二人の関係に不穏な空気が流れてしまった。成長していくとは反発することでもあり、従順なままでは何も変われない。二人の関係が少し微妙になってしまったが、その出来事もまいを強くさせたことだろう。

不穏な空気をまとっていたゲンジさんの存在は、まいの主観で描かれている作中ではあまりいいひとのように映らない場面もあったけれど、再び祖母のもとへ訪れた際のゲンジさんが印象良く書かれていることから、おそらく、まいの非難の言葉から、おばあちゃんがその人をかばうような言葉が出てきたように、悪い人ではないんだろうな。けれど、お父さんと同じで想像力が少し足りないだけなのだろうなと思った。

 

僕は何度もおばあちゃんの言葉に勇気をもらった。

特に、シロクマのお話は自分の生き方に勇気をもらう言葉だった。自分が生きる環境についての幼い頃からの疑問が解け、自分は自分がしたいように生活し、話したいことを話す。自分の行動に負い目を感じなくていいんだ。と思えた。